ORDB.ORG停止が示したもの

2006年12月18日、ORDB.ORGは停止した。ORDB.ORGはそれまでの5年間、世界のspamと戦う人々にspamの踏み台となっている愚かなオープンリレーサーバ*1IPアドレスDNS問い合わせで判定できる Realtime DNS Black List として提供し続けてくれた。
spammerが利用する踏み台が、愚かな管理のオープンリレーサーバから、愚かな管理の(ゾンビ、ボットと呼ばれる)パソコンに移り、リストアップが追いつける状況ではなくなってきたのが停止の理由と思われる。
さて、停止から15ヶ月ほど経過したわけだが、未だにRELAY.ORDB.ORGへは世界中のspam対策システムからspam判定を求めるDNS問い合わせが押し寄せ続けているらしい。業を煮やした ORDB.ORG の中の人は、サービスは終わっているのだということをなんとかしてわかってもらおうと、日本時間の2008/3/25 7:50 からすべての問い合わせに、そのIPアドレスはブラックであるという判定を返し始めた。これにより、愚かな管理のspam対策システムがすべてのメールをspamとして処理することになってしまったらしい。ORDBは情報を提供しているだけであり、spam判定を行っているのは愚かな管理のシステムの勝手である。
今回の件で彼らをテロリストのように責めるむきがあるようだが、彼らに悪意がないことは、彼らがルートサーバの負荷まで気をつかっていたことからもよくわかる。彼らを責める人たちは、こちらに書かれている彼らの苦労をよく知るべきだろう。
今回の事件は、インターネットにつながるコンピュータの管理がいかに怠惰な状態であるかを示す象徴的な事件だと考えていいだろう。IPv6やDNSSECへの"移行"を考えている人たちはそのあたりをよく考えたほうがいい。

Karl Auerbach かく語りき

And the net has very long memory - I still get DNS queries sent to IP addresses that haven't hosted a DNS server - or even an active computer - in nearly a decade.
(snip)
So, between spam, anti-spam blacklists, rogue packets, never-forgetting search engines, viruses, old machines, bad regulatory bodies, and bad implementations, I fear that the open Internet is going to die sooner than I would have expected. In its place I expect to see a more fragmented network - one in which only "approved" end-to-end communications will be permitted.

Is the internet dying? より

*1:インターネットの理想から言えばオープンであること自体は愚かというよりもむしろ敬うべきことなのですが、その理想は幻想となり、いまだオープンなサーバは理想を持ったものなどではなく、オープンであることすら気づいていない愚かな管理者による迷惑な存在でしかないでしょう